離れた場所にいる相手と、声や楽器の音をほぼリアルタイムで合わせたい。そのために使える無料のアプリが、SonoBus(ソノバス)です。公式サイトは、インターネットやローカルネットワーク越しにデバイスどうしを直接つなぎ、高音質・低遅延の音声を送るアプリと紹介しています。公式が挙げる使い道は、音楽のセッション、遠隔での合奏、ポッドキャストなどです。VTuberなら、離れた相手とのデュエットや合わせ練習を考える場面に向いています。
2026年11月1日時点で、公式サイトが案内する最新版は2023年12月11日に出た1.7.2です。Windows、Mac、Linux、iPhone・iPad、Androidで使え、料金は無料です。OBS Studioには、音声ソースのフィルターとして取り込めます。
この記事のポイント
- グループ名を決めるだけで、複数人が音声でつながる。無料
- 遅延を小さくするには、有線のヘッドホンと有線LANが基本
- 通信は暗号化されていない。公式がそのまま書いている
- OBSには、音声ソースのフィルターとして追加できる
01同じ場所にいなくても、音を送り合える
つなぎ方は、任意のグループ名を決めて、相手にも同じ名前で入ってもらう形です。パスワードも付けられます。音声は参加者どうしが直接やり取りし、接続サーバーはグループ名で相手を見つけるためだけに使われると、公式は説明しています。
- 参加者ごとに、音量とミュートを調整できる。
- 音質は、非圧縮のPCM(16・24・32ビット)か、Opusによる圧縮(チャンネルあたり16〜256kbps)から選べる。
- 入力にコンプレッサー、ノイズゲート、イコライザーをかけられる。受け取った音全体には、リバーブも足せる。
- セッション全体をディスクに録音でき、マルチトラックにも対応している。
- 音声ファイルを、参加者全員に流せる。
公式のユーザーガイドは、一方向の遅延が約40ミリ秒を超えると音楽には厳しく、25ミリ秒ほどなら十分としています。現実的な参加人数の目安は、十数人です。
02作っている人
SonoBusは、Sonosaurus LLCのJesse Chappellさんが開発しました。ソースコードはGitHubでGPLv3として公開されています。READMEのクレジットには、ドキュメントを書いた人、Soundboard機能を設計・実装した人、翻訳を担当した人の名前も並んでいます。作った理由や動機は、公式サイトにもREADMEにも書かれていないため、ここでは開発者の思いは紹介できません。
03はじめの一歩
公式のユーザーガイドによると、はじめ方は次のとおりです。
- 公式サイトから、使うOSの版をダウンロードして入れる。
- 初回の起動で「Setup Audio」から、入力と出力のデバイスを選ぶ。Windowsでは、ASIOドライバーの利用が強く勧められている。
- 有線のヘッドホンかイヤホンをつなぐ。
- 「Connect…」を押し、「Private Group」でグループ名と自分の名前を入れて、「Connect to Group!」を押す。
- グループ名(パスワードを決めたときはそれも)を相手に伝える。
グループ名を伝える代わりに、画面右上のコピーのボタンでリンクをコピーして送る方法もあります。受け取った側は、左上の貼り付けのボタンを使えます。
04遅延を小さくする:ヘッドホン、有線LAN、バッファ
公式ガイドによると、遅延は主に次の3か所から生まれます。
| 遅延が出る場所 | 中身 | 公式ガイドの案内 |
|---|---|---|
| オーディオ機器のバッファ | 機器が音をためておく量 | Windowsでは、ASIOドライバーの利用が強く勧められている |
| 受信のジッタバッファ | 届く音のゆれをならすための待ち時間 | Auto系の設定は自動で調整する。Manualでは、最小から少しずつ上げるのが基本 |
| ネットワーク | 相手との回線 | 有線LANでルーターにつなぐ。Wi-Fiでも使えるが、ジッターとパケットロスが増え、バッファを大きくするぶん遅延も増える |
ヘッドホンについて、公式は有線のヘッドホンかイヤホンを勧めています。Bluetoothは最大250ミリ秒ほど遅れるため、向かないとされています。SonoBusにはエコーキャンセルも自動のノイズ除去もなく、ヘッドホンを使わないとスピーカーの音がマイクに戻って、ハウリングやエコーが起きます。マイク入力は、ヘッドホンをつないだあとで、黄色いバーの「Unmute Input」から解除します。
05OBSに取り込むとき
SonoBusを入れると、OBSのフィルターに「SonoBus VST 2.x Plug-in」が出ます。ユーザーガイドの手順は次のとおりです。
- 音声入力ソースの歯車から、フィルターを開く。
- 新しいフィルターとして、SonoBusを選ぶ。
- 意図しない音が入らないよう、使っていないソースを選ぶか、入力レベルを最小にする。
歌や演奏をする側として参加するときは、OBSの中ではなく、別にスタンドアロン版を使うよう勧められています。OBSの中の処理は遅延が大きいためです。スタンドアロン版はオーディオインターフェースに直接つなぎ、小さなバッファサイズで動かします。OBSのプラグイン側ではマイクのボタンでミュートして音を送らないようにし、OBS側ではそのソースのモニタリングをオフにすると、自分の音が二重に聞こえるのを防げます。配信とミックスだけを受け持つなら、プラグイン1つで足ります。
06料金と、使っていい範囲
2026年11月1日時点で、SonoBusは無料です。公式サイトは、オープンソースの無料のソフトと案内し、寄付はPayPalで任意に受け付けています。ソースコードのライセンスはGPLv3で、全文はGitHubのLICENSEにあります。配信や収益化での使い方を定めた規約は、公式サイトとユーザーガイドの範囲では確認できませんでした。
07つまずきやすいところ
- 通信は暗号化されていません。公式は、傍受される可能性は低いとしながら、注意を促しています。
- 公開グループは、誰でも一覧から見つけられます。コラボ相手とだけ音を合わせるなら、プライベートグループにして、パスワードを付けておくと安心です。
- 遅延は、回線と機器で変わります。本番の前に、相手と一度つないで確かめてください。
- 公式のユーザーガイドは英語です。日本語で使える画面かどうかは、公式サイトとGitHubの説明から確認できませんでした。
- 公式が案内する最新版は2023年12月のものです。新しいOSで使うなら、配信の前に動作を試してください。
08こんな人に
離れた相手とデュエットや合わせ練習をしたい人、コラボ相手の声を別のトラックで録っておきたい人、参加者ごとに音量を調整したい人に向きます。コラボ向けのツールは、ツール名鑑の「コラボ・通話」で探せます。歌枠の音を配信に乗せる方法は、歌枠の音を配信に乗せるツール比較で紹介しています。
編集部のひとこと
私はSonoBusを動かしていないので、実際の遅延がどのくらいになるかは書けません。それでも、公式がBluetoothは向かないこと、通信を暗号化していないことまで先に書いているのは、これから遠隔で音を合わせる人にはありがたい情報です。デュエットや合わせ練習を企画するなら、本番の前に、相手と30分だけ試す時間をとってください。
TOOLSこの記事に出てくるツール
- OBS Studio配信ソフト Windows・Mac・Linux動画の録画とライブ配信のための、無料でオープンソースのソフトです。Windows、Mac、Linux で使えます。無料日本語無料
- SonoBus音声・マイク Windows・Mac・Linux・iPhone・iPad・Android離れた相手とインターネット経由で音声を送り合う無料のアプリです。グループ名を決めるだけで、複数人が同じ場につながります。NEW無料無料
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