「結局はご本人の歌唱力が1番重要」。ミックスの依頼を受け付けているつじけんたさんは10月21日の夜、Xに13本に分けて書いた音作りの解説を、最後にこの一言で締めた。解説のきっかけは、韓国のVTuber事務所StelLive(ステライブ)から10月18日にデビューした新人、常乃メリ(토키노 메리)さんの歌の切り抜きだ。
つじけんたさんのほかにも、日本の配信者や音楽制作に関わる人たちが、配信でこの音を出すにはどうするかを、マイクやソフトの名前を挙げて書いている。
01初配信で歌った「Brave Shine」
常乃メリさんは、StelLiveの4期生「ABYSS(어비스)」の4人のうちの1人だ。StelLive公式YouTubeのPVの概要欄によると、4人は10月17日と18日の2日に分けて、韓国の配信サービスCHZZK(치지직)で初配信をした。常乃メリさんの初配信は18日18時(日本時間も同じ)からだった。
話題になった切り抜きは、ファンのアカウントが18日の夜にXへ投稿したものだ。Aimerさんの「Brave Shine」(アニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』第2期のオープニング曲)を歌う場面で、10月22日朝の時点で表示は421万回、いいねは2万5000件を超えた。
常乃メリさんは初配信のあと、Xで自己紹介を投稿した。ファンの呼び名は「단추(ボタン)」だ。
메리키타! 스텔라이브 4기생
— Tokino Mary (@TokinoMary) 2026年10月18日
『 Abyss 』 의 토키노 메리(常乃 メリ) 다요~!
引用:Tokino Mary(@TokinoMary)のポスト
デビュー前の10月16日には、本人の公式YouTubeチャンネルでNeruさんの「東京テディベア」のカバーを公開していた。再生は6日で162万回を超えている(10月22日時点)。概要欄によると、音楽ディレクションは「STELLIVE Music Production」所属の担当者が手がけた。
02生で歌っていたとしたら 配信の音作りをめぐる考察
作詞作曲を手がける常勝無敗ぐぬぬさんは「もちろん歌唱力はデカい」と書いたうえで、生で歌っていたとしたら要る処理を挙げた。音程を自然に補正する処理、響きを足す空間系の処理、コーラスを重ねる処理、遅れの出ないマスタリングで、「だいぶガッチガチ準備されてると思う」と見立てている。同じ投稿では、音源のように聞こえる歌枠と、生で歌っているように聞こえる歌枠のどちらを求めるかでも違う、と添えている。
絵愛さやかさんは、OBSよりもDAW(音楽制作ソフト)でプラグインを使って音を作るほうがよいとしつつ、歌枠で何曲も歌う場合の手間を挙げた。バラードはリバーブを深く、テンポの速い曲はコンプレッサーの設定を変える、といった調整を曲ごとに切り替えるのは大変だという。
つじけんたさんの解説は、この曲ごとの切り替えまで含めた方法だ。マイクはダイナミックマイクを勧めた。コンデンサーマイクは口との距離を細かく管理する必要があり、部屋の反響も拾いやすいからだという。オーディオインターフェースは、RMEのBabyfaceでもよいとしたうえで、価格と内蔵の処理の豊富さからAntelope Audioの「Zen Quadro」を勧めた。入力の段階でコンプやEQをかけられる機種だという。
音作りの中心に置いたのは、DAWではなく「LiveProfessor」というソフトだ。録音や再生の機能を省いた、ライブ向けのプラグインホストで、PCの負荷を抑えられるという。曲ごとのプラグインの組み合わせを保存しておき、Stream Deckなどのボタン1つで呼び出せる。曲の間の雑談用の設定も用意できる。最後は、LiveProfessorの出力を仮想オーディオケーブルでOBSに入れる。開発元Audiostromの公式サイトによると、LiveProfessorはWindowsとmacOSに対応し、100日間の無料体験がある。
この話題について適当なタグ等が見当たらなかったため引用で失礼します。
— つじけんた Tsuh🐚@MIX依頼受付中 (@TsuhbassMIX) 2026年10月21日
この歌枠の音響設定について知りたい方が沢山いらっしゃるようなので、私なりにこれなら実現可能だろうと思えるような機材やソフト、プラグイン等まとめましたのでツリーに記載していきます。
ご質問やご相談も受け付けます。
引用:つじけんた Tsuh🐚@MIX依頼受付中(@TsuhbassMIX)のポスト
03DAWの音をOBSへ送る無料プラグインも
DAWで作った音を配信に送る方法として紹介されたのが、夜人さんが9月8日に公開した無料のプラグイン「DawAudioStreamer」だ。VTuberの夜宙ルクさんは10月21日の朝、DAWの音をOBSで流す方法について「俺はこれですぐ出来たよ」と夜人さんの投稿を引用した。夜人さんの元の投稿のブックマークは、10月22日朝の時点で1万件を超えている。
DAWのマスターに挿すだけ。
— 夜人 (@yoruhinot) 2026年9月8日
OBSやDiscordに、いつもの音をそのまま共有。
オーディオインターフェースの設定を変えずに使えるプラグイン「DawAudioStreamer」を作りました。無料です。
ダウンロード・初回セットアップは返信に↓
引用:夜人(@yoruhinot)のポスト
配布ページによると、DAWのマスターの最後に「DAS Send」を1つ挿し、OBSで「DAS Audio(DAW)」のソースを追加すれば、DAWの音をそのまま配信に乗せられる。DAWに戻る音や音量は変わらない。正式版はWindows 11向けのVST3で、macOS向けにはAUとVST3のプレビュー版がある。ソースコードも公開されている。Discordの画面共有に送る場合、WindowsではVB-CABLEの導入が必要だ。
つじけんたさんの方法が、曲ごとの音作りを配信の中で切り替えるものなのに対し、DawAudioStreamerは、DAWで作った音をそのまま配信に届けるための道具だ。
編集部のひとこと
韓国語の歌の切り抜きが、数日のうちに日本語の機材リストやつなぎ方の解説になっていった。歌を聞いて、まず自分の配信で試せるかを考える人がこれだけいる。そこがおもしろかった。機材をそろえる前に、つじけんたさんの最後の一言は読んでおきたい。
- STELLIVE 4th Generation 「ABYSS」PVYouTube(스텔라이브 StelLive Official)
- 도쿄 테디베어 / 토키노 메리 (Tokino Mary) CoverYouTube(토키노 메리 TOKINO MARY)
- 常乃メリさんの自己紹介のポストX(@TokinoMary)
- つじけんたさんの解説のポストX(@TsuhbassMIX)
- 常勝無敗ぐぬぬさんのポストX(@gununu_meiwaku)
- 絵愛さやかさんのポストX(@sayaka_aiart)
- 夜宙ルクさんのポストX(@yozora_luk)
- 夜人さんのポストX(@yoruhinot)
- DawAudioStreamer — DAWの音を配信へDawAudioStreamer 配布ページ
- yoruhinot/DawAudioStreamerGitHub
- LiveProfessorAudiostrom
VTuber界隈のあれこれを届けるV/WIRE編集部です。 編集方針
