雑談やゲーム実況が中心で、部屋の生活音が気になるなら、ダイナミックマイクが向いています。歌枠やナレーションで声の細かなニュアンスまで届けたい、部屋が静かだ、という場合は、コンデンサーマイクが候補です。二つの違いは、音を電気に変える仕組みにあります。
この記事のポイント
- ダイナミックマイクは、磁石の中でコイルが動いて電気を作る。外部電源がいらず、衝撃や湿気にも強い
- コンデンサーマイクは感度が高く、細かな音まで拾える。そのぶん環境音や、マイクに触れた音も入りやすく、動かすには電源がいる
- 同じ14,520円のAT2020(コンデンサー)とAT2040(ダイナミック)では、感度が−37dBと−53dBで、16dB違う
- XLRでつなぐコンデンサーマイクの多くはファンタム電源が必要。ダイナミックマイクとUSBマイクにはふつう必要ない
01音を電気に変える仕組みが違う
マイクは、音を電気信号に変える仕組みによって、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクに分けられます。実際の音質や使い勝手は、指向性や感度、周波数特性などの組み合わせで決まります。種類による違いは、あくまで目安だと、オーディオテクニカは説明しています。指向性やUSBとXLRの違いも含めた全体像は、VTuberの配信用マイクの選び方にまとめています。
ダイナミックマイク:コイルが動いて電気を作る
音の振動でダイアフラム(振動板)が震えると、それに付いたコイルも磁石の中で動き、電気信号が生まれます。構造がシンプルで丈夫です。コンデンサーマイクに比べて衝撃や湿気に強く、外部電源もいりません。正面の音を主に拾う単一指向性のモデルがほとんどなので、マイクを口元に近づければ、録りたい声を中心に収録できます。ハウリングも起こりにくいです。
コンデンサーマイク:振動板と固定極で音を捉える
内部の振動板と固定極という部品で、音の振動を電気信号に変えます。ダイナミックマイクより感度が高く、息づかいのような細かなニュアンスや空気感まで捉えやすいのが強みです。一方で、環境音や、マイクに触れたときのノイズも拾いやすくなります。動かすには基本的に外部からの電源が必要で、XLRでつなぐ場合は、オーディオインターフェイスやミキサーから送るファンタム電源を使うのが一般的です。湿気や温度変化、衝撃にも弱い構造です。
02同じ14,520円の2本で、仕様の数字を比べる
オーディオテクニカのAT2020とAT2040を並べます。どちらも公式オンラインストアの価格は14,520円(税込)で、出力端子はXLRです。AT2020がコンデンサー、AT2040がダイナミックです。
| 項目 | AT2020(コンデンサー) | AT2040(ダイナミック) |
|---|---|---|
| 型式 | バックエレクトレットコンデンサー型 | ダイナミック型 |
| 指向特性 | 単一指向性 | ハイパーカーディオイド |
| 周波数特性 | 20〜20,000Hz | 80〜16,000Hz |
| 感度 | −37dB(14.1mV) | −53dB(2.2mV) |
| 外部電源 | 必要(ファンタム電源48V、2mA) | 不要 |
| 質量 | 345g | 615g |
| 出力端子 | 3ピンXLR | 3ピンXLR |
| 付属品 | スタンドマウント、変換ネジ、ポーチ | マウンティングクランプ、変換ネジ、ポーチ |
| 価格(税込) | 14,520円 | 14,520円 |
価格は、2026年10月14日時点のオーディオテクニカ公式オンラインストアの表示です。感度は、0dB=1V/Pa(1kHz)を基準にした値です。
感度は、一定の大きさの音を、どれだけの電圧に変えるかを表す数値です。「○○dB」と書かれ、0に近いほど高感度です。AT2020は−37dB、AT2040は−53dBなので、同じ声を録ったときの出力は、AT2020のほうが大きくなります。同じ価格の2本で16dBも違うことには、並べてみて驚きました。
オーディオテクニカは、雑談やゲームの配信では、雑音を拾わないように低感度のマイクを選ぶとよいとしています。スタジオでのライブ配信のように、離れた場所の音も拾いたいときは、高感度のマイクが向いています。
周波数特性は、マイクがどの帯域の音を強調するかの目安で、「○○Hz〜○○Hz」と書かれます。オーディオテクニカは、この数字だけで判断せず、ボーカル録音向きといったマイクの特徴とあわせて見るのがよいとしています。
03USBマイクなら、どちらの種類もインターフェイスなしで使える
USBマイクは、パソコンにつなぐだけで使えます。電気もUSBから届くので、ファンタム電源は関係ありません。コンデンサーでもダイナミックでも、USBならオーディオインターフェイスを買わずに始められます。
| 製品(メーカー) | 種類・つなぎ方 | 指向性 | 価格 |
|---|---|---|---|
| Yeti Orb(ロジクールG) | コンデンサー・USB | カーディオイド系 | 8,690円 |
| Wave:3 MK.2(Elgato) | コンデンサー・USB-C | カーディオイド | 28,980円 |
| Yeti GX(ロジクールG) | ダイナミック・USB | スーパーカーディオイド | 32,780円 |
価格は、2026年10月14日時点の公式サイトの表示です。ロジクールGは税込み、Elgatoは表示された価格です。
USBマイクの仕様では、感度の単位がXLRのマイクと違うことがあります。たとえばWave:3 MK.2の感度は「−20 dBFS」で、AT2020の感度(0dB=1V/Pa基準)とは単位が違います。数字だけを並べて、高い低いを比べることはできません。
04ファンタム電源が必要になるのは、XLRのコンデンサーマイク
ファンタム電源は、XLRケーブルの中の線を使って、マイクに電気を送る仕組みです。標準は48Vで、オーディオインターフェイスやミキサーにある、48Vと書かれたスイッチで入り切りします。コンデンサーマイクは、この電気で内部の回路を動かします。オフのままだと、信号がほとんど出ないか、まったく出ません。

ダイナミックマイクには、ふつうファンタム電源はいりません。Focusriteによると、内部に増幅回路を持つ一部のモデルは例外です。標準的なバランス型のXLRケーブルで正しくつないでいれば、48Vが入っていても影響はありません。ただしElgatoとFocusriteは、ビンテージのリボンマイクが損傷する可能性を挙げています。Elgatoは、損傷や配線ミスのあるケーブルでは電圧が本来の経路以外に流れるおそれがあるとして、ケーブルの交換もすすめています。ビンテージのリボンマイクをつなぐときは、マイクのメーカーに確かめてください。
Focusriteは、マイクや機器を接続したり外したりする前にファンタム電源をオフにし、つないだあとで必要なチャンネルだけオンにするよう案内しています。
05用途別の選び方
雑談・ゲーム実況が中心なら、ダイナミックマイク
周囲の雑音を拾いにくく、エアコンの音がある部屋や、防音していない部屋でも比較的安定して使えます。オーディオテクニカは、さまざまなジャンルを配信する人にも、丈夫で取り回しのよいダイナミックマイクをすすめています。
歌枠・歌ってみた・ナレーションなら、静かな部屋でコンデンサーマイク
オーディオテクニカによると、コンデンサーマイクはボーカル録音やナレーション、宅録でよく使われます。部屋の音を拾いやすいので、なるべく静かな時間と場所で使ってください。エアコンや外の音が気になる部屋では、ダイナミックマイクで歌う方法もあります。オーディオテクニカは、音質の面ではコンデンサーマイクが優位な傾向があるとしたうえで、ダイナミックマイクにも高音質のモデルがあるとしています。
XLRのマイクを使うなら、電源とゲインを先に確かめる
XLRのコンデンサーマイクを選ぶなら、つなぐオーディオインターフェイスやミキサーが、ファンタム電源(+48V)に対応しているかを買う前に確かめてください。ダイナミックマイクは感度が低い傾向があるので、ゲイン(音を大きくする度合い)を十分に上げられるかも、あわせて確かめてください。インターフェイスの選び方は、配信にオーディオインターフェイスは必要?で説明しています。
06つまずきやすい点
声が入らない
XLRのコンデンサーマイクなら、ファンタム電源(48V)がオンになっているかを確かめてください。ダイナミックマイクで音が出ないときは、Elgatoによると、ファンタム電源よりゲインの問題であることが多いそうです。インターフェイスのゲインを少しずつ上げてみてください。パソコンにはつながっているのにOBSで声が入らないときは、OBSの設定でそのマイクを選んでいるかも確かめましょう。手順はOBSの配信設定にあります。
声が小さい
ダイナミックマイクは、コンデンサーマイクより感度が低い傾向があります。まずは口元にマイクを近づけてから、ゲインを調整してください。
マイクに触れた音や、息の音が入る
コンデンサーマイクは、マイクに触れたときの音を拾いやすいので、ショックマウントやポップフィルターがあると役に立ちます。AT2040は、一体型のショックマウントとポップフィルターを本体に内蔵しています。AT2020では、ショックマウントのAT8458aとポップフィルターのAT8175が別売です。
マイクの後ろの音が入る
AT2040のようなハイパーカーディオイドのマイクは、左右の音を拾いにくい一方で、背面の音を拾います。マイクの後ろには、スピーカーなど音の出るものを置かないようにしてください。
コンデンサーマイクの保管
湿気や温度変化、衝撃に弱いので、使わないときは湿気を避けて保管しましょう。使うときは、ポップフィルターを付けると、息が当たる音を減らせます。
07よくある質問
USBのコンデンサーマイクにも、ファンタム電源は必要ですか?
いいえ。USBマイクは、USB接続から電気が届くので、ファンタム電源は関係ありません。
ダイナミックマイクにファンタム電源を入れると、壊れますか?
標準的なバランス型のXLRケーブルで正しくつないでいれば、ダイナミックマイクは電気を無視するので、害はありません。ただし、ビンテージのリボンマイクのように、損傷する可能性があるマイクもあります。マイクのメーカーに確かめてください。
感度が高いマイクのほうが、配信に向いていますか?
用途によります。雑談やゲームの配信では、雑音を拾いにくい低感度のマイクが向いています。離れた場所の音も拾いたいときは、高感度のマイクが向いています。
ダイナミックマイクで、歌ってみたを録れますか?
録れます。オーディオテクニカは、ダイナミックマイクをボーカル収録にもおすすめのマイクとして紹介しています。
USBとXLRのどちらにするか、まだ決められません。
パソコンにつなぐだけで始めたいならUSBが候補です。XLRのマイクには、オーディオインターフェイスかミキサーが別に必要です。くわしくは配信にオーディオインターフェイスは必要?を読んでください。
編集部のひとこと
最初に考えることは、部屋が静かかどうかと、歌うかどうかの二つから始めれば十分だと思っています。迷って配信を始められないより、1本選んで声を出してみると、次に必要な機材も見えてきます。
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