マイクの声がこもって聞こえる、高い音がきつい。そんなときに、音の高さ(周波数)ごとに音量を上げ下げする道具がイコライザーです。Equalizer APOは、そのイコライザーを Windows の音の流れに入れて動かす無料のソフトです。
公式の手順は、テキストの設定ファイル(config.txt)に数字を書いて使う形です。書き換えて保存すると、鳴っている音がその場で変わると説明されています。
この記事のポイント
- GNU GPL v2.0 のオープンソースで、対応は Windows です。Windows 7〜11 で動作確認されています
- 設定ファイルに「Device:」で対象のデバイスを指定し、フィルターを書いて声を整えます
- ASIO や WASAPI の排他モードで音を扱うアプリには効きません
- 効かないときは、サウンド設定の「拡張機能」と、設定ファイルの書き方を確かめます
01Equalizer APOとは
APO は Audio Processing Object の略で、Windows Vista で導入された、音にエフェクトをかける仕組みです。Equalizer APO はこの仕組みの上で動くので、特定のアプリの中ではなく、Windows の音の流れに入ります。公式の配布ページ(SourceForge)では「パラメトリック/グラフィックイコライザー」と説明されています。
プロジェクトの登録は2012年9月13日です。対応は Windows で、x64・x86、Windows 10/11 では ARM64 も使えます。
02できること
公式の機能一覧には、次のことが挙がっています。
- フィルターの数に、事実上の制限がありません
- 使えるチャンネル数も自由です
- 遅延が非常に小さく、対話的な使い方に向くと書かれています
- CPU の使用率が低いです
- モジュール式の操作画面(GUI)があります
- VST プラグインを読み込めます
- Voicemeeter に組み込めます
フィルターにはいくつかの種類があります。ある高さの音を持ち上げたり下げたりするピーキング(PK)、高い音をカットするローパス(LP)、低い音をカットするハイパス(HP)、低域・高域全体の音量を変えるシェルフ(LS・HS)、特定の高さだけを狙って下げるノッチ(NO)などです。種類ごとに、中心の周波数(Fc)、音量の変化(Gain)、効き具合の広さ(Q)を数字で指定します。
03マイクに使うときの書き方
設定ファイルの書式の例には、マイク向けの書き方がそのまま載っています。「Device: Microphone」と書くと、その行から下は、デバイス名・接続名・GUID の文字列に「Microphone」という単語を含むデバイスにだけ効く設定になります。公式の例では、その下で 50Hz にノッチフィルターを入れています。マイクの名前が違う場合は、Configurator にある専用のボタンで、自分のデバイスに合った Device の行を作れます。
形だけ見るなら、次のようになります。
Device: Microphone
Preamp: -3 dB
Filter 1: ON HP Fc 80 Hz
Filter 2: ON PK Fc 3000 Hz Gain 2.0 dB Q 1.00
この数字は書式を見せるための例で、おすすめの設定ではありません。声の高さやマイクで合う値は変わるので、聞きながら決めます。Preamp は、プラスのゲインのフィルターを使うときに音が割れないよう、先に音量を下げておく命令で、公式の書式ではマイナスの値を入れます。
入力側のデバイスでは、ステージは「キャプチャ」の1つだけで、初期設定ではフィルターが1回だけ実行されると、公式の資料にあります。
04はじめの一歩
- 配布ページ(SourceForge)から、自分の Windows に合う32ビットか64ビットのセットアップを入手します。
- セットアップを実行します。途中で Configurator が開くので、調整したいデバイスを選びます。
- インストールが終わったら再起動します。新しい APO は、音のサービスが再起動されてから使われます。
- 標準の保存先なら C:\Program Files\EqualizerAPO\config にある config.txt を、テキストエディタで開きます。
- 最初は Preamp と example.txt の読み込みが書かれていて、音量が少し下がり、低音が少し上がる設定になっています。数字を書き換えて保存すると、変化を確かめられます。
公式の確かめ方は、音楽などを再生しながら Preamp の数字を変え、保存のたびに音量が変わるのを聞く方法です。マイク向けの確かめ方は、公式の手順には書かれていません。
05つまずきやすい点
ASIO や排他モードのアプリには効かない
配布ページには、WASAPI の排他モードや ASIO のように、Windows の標準のしくみを通らない音は使えないと書かれています。マイクをそうした設定で使うアプリがあると、Equalizer APO の処理を通りません。
変化がないとき
公式の資料では、コントロールパネルのサウンドで、デバイスのプロパティを開いて確かめるよう案内しています。英語表記の「Enhancements」のタブがあれば「Disable all enhancements」のチェックを外し、タブがなければ「Advanced」のタブで「Enable audio enhancements」にチェックを入れます。日本語の Windows では、表記が少し違うことがあります。
音が不安定なとき
サウンドカードのドライバに付いている APO との組み合わせで、音が不安定になる場合があると公式の資料にあります。Configurator で自分のデバイスの接続名をクリックし、トラブルシューティングのオプションを有効にして、2つある「Use original APO」のチェックを外すと、改善する場合があります。ただし、ドライバが APO で実現している機能は使えなくなります。
書き間違えてもエラーは出ない
設定ファイルの書式に合わない行や、対応していない命令の行は、エラーにならずに無視されると公式の資料にあります。数字を変えても音が変わらないときは、行の書き方を見直します。重大な問題が起きたときだけ、C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Temp\EqualizerAPO.log にログが残ります。
06近いツールとの違い
Equalizer APO は、音の高さごとの音量を変えるためのソフトで、公式の機能一覧に、雑音を取り除く機能は挙がっていません。
| ツール | できること | 料金 |
|---|---|---|
| Equalizer APO | Windows の音に、高さ別の音量調整をかける。VST も読み込める | GPLv2 のオープンソース(2026年11月6日時点) |
| Voicemeeter Banana | 仮想の音声デバイスを備えた Windows 用のオーディオミキサー。すべての出力にパラメトリックイコライザーがあり、入力ごとにコンプレッサー、ゲート、リミッターも使える | 無料で全機能を使える寄付制(ライセンスは$10〜$50。2026年10月26日時点) |
| NVIDIA Broadcast | RTX の GPU を使い、マイクの雑音や部屋の反響を取り除く | 無料(2026年10月26日時点) |
| Audacity | 録音と、録った音の編集。ノイズリダクションもある | 無料(2026年10月26日時点) |
Voicemeeter への組み込みは、Equalizer APO の公式の機能一覧に挙がっています。Voicemeeter Banana を使った歌枠の音づくりは、歌枠の音を配信に乗せるツール比較で扱っています。マイクとの距離や録音レベルといった、イコライザーの前に整えたいことは歌ってみた・歌枠の録り方が参考になります。
07こんな人に
- マイクの声を、Windows の側で整えたい人です
- テキストに数字を書いて調整することに抵抗がない人です
- VST プラグインを、Windows 全体の音に使ってみたい人です
対応は Windows だけで、Mac や iPhone では使えません。
08料金と規約
配布ページには、ライセンスが GNU General Public License version 2.0(GPLv2)と記載されています。有料プランなどの記載はなく、配布は SourceForge の公式ページで行われています(2026年11月6日時点)。
編集部のひとこと
音を整えるソフトというと、スライダーが並ぶ画面を思い浮かべます。Equalizer APO の公式の手順は、config.txt に Filter の行を書くところから始まり、フィルターの種類と数字の意味が書式の資料にまとまっています。数字の意味が分かれば、同じ行を書き換えるだけで調整を重ねられます。ただし、公式の資料には「行を書き間違えても無視される」とあります。変わらないときは、まず行の書き方を見直してください。
TOOLSこの記事に出てくるツール
- Audacity音声・マイク Windows・Mac・Linux録音と音声の編集ができる、無料でオープンソースのソフトです。無料無料
- Equalizer APO音声・マイク WindowsWindows 全体の音に効く、オープンソースのイコライザーです。マイクやスピーカーなど、デバイスごとに音の高さ別の音量を調整できます。NEW無料個人開発無料(オープンソース)
- NVIDIA Broadcast音声・マイク WindowsNVIDIA RTX のGPUでAIの処理を行い、マイクの雑音を消したり、カメラの映像を整えたりする Windows 用のアプリです。無料無料
- Voicemeeter Banana音声・マイク Windows仮想の音声デバイスを備えた Windows 用のオーディオミキサーです。マイクやアプリの音をまとめて、好きな出力先へ送れます。無料無料で全機能を使える寄付制(ライセンスは$10〜$50)
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