VRChatのフルトラッキングには、トラッカー3台から始められる方式と、最低5台を使う方式があります。HTCは、VIVE Tracker (3.0) とVIVE Ultimate Trackerのフルボディに3台を案内しています(VIVE Ultimate Trackerは、ヘッドセットとコントローラー2台を使う場合)。SlimeVRの公式ドキュメントは最低5台です。
ベースステーション(部屋に置いて、トラッカーの位置を測る基準にする機器)をすでに持っているなら、VIVE Tracker (3.0) が候補です。ベースステーションを置けない部屋なら、VIVE Ultimate Trackerがあります。Wi-Fiで動く方式を試したいなら、SlimeVRです。
この記事のポイント
- VRChat公式ドキュメントが例に挙げるのは、ベースステーションを使うLighthouse系のトラッカー(HTC Vive TrackerとTundra Trackers)です。Kinectなど別の方式は、動く場合があってもVRChatサポートの対象外とされています
- ヘッドセットとコントローラーに加えて使えるトラッカーは、VRChatでは最大8台です
- HTCはVIVE Tracker (3.0) のフルボディに最低3台を、VIVE Ultimate Trackerのフルボディ(コントローラー2台を使う場合)に3台を案内しています。SlimeVRは最低5台です
- 10月26日時点の公式ページでは、VIVE Tracker (3.0) は19,000円(税込・希望小売価格)で、ベースステーションが別売で必要です。VIVE Ultimate Trackerはベースステーション不要ですが、3m×3m以上のプレイエリアが要ります
01フルトラッキングとは
フルトラッキングは、頭と両手に加えて、腰や足にもトラッカーを付け、全身の動きをアバターに反映させる方法です。VRChatの公式ドキュメントでは、トラッカーで動きを追えるのは足、膝、腰、胸、肘と肩です。肘より上に付ける1台で、肘と肩の両方を制御します。
ヘッドセットがまだ決まっていない場合は、先にVRChatの始め方を読んでください。
02VRChatで使える方式の条件
VRChat公式ドキュメントは、Lighthouse系のトラッカーを使うと説明しています。例に挙がっているのは、HTC Vive TrackerとTundra Trackersです。Kinectなど別の方式については、動く場合があってもVRChatサポートでは対応できないとしています。
VRChatの公式ドキュメントは、VIVE Ultimate TrackerとSlimeVRを例に挙げていません。HTCの公式ページはVIVE Ultimate Trackerの対応ヘッドセットにサードパーティ製のSteamVR対応ヘッドセットを載せていて、SlimeVRの公式サイトはVRChatを対応ゲームとして載せています。
033つの方式を公式の情報で比べる
以下は、10月26日時点の公式情報です。
| 製品 | 追跡のしくみ | 必要なもの | 公式が案内する本数 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| VIVE Tracker (3.0)(HTC) | SteamVRのベースステーション(BS1.0・BS2.0)を使う | ベースステーションとソフトウェア(別売)。トラッカー1台ごとに、PCの空きUSBポートが1つ | フルボディに最低3台 | 19,000円(税込・希望小売価格) |
| VIVE Ultimate Tracker(HTC) | トラッカーの2台の広角カメラで空間を認識する(セルフトラッキング) | 3+1キットはトラッカー3台とドングル1台。Windows 10・11。プレイエリアは3m×3m以上 | ヘッドセットとコントローラー2台を使う6ポイントは3台。コントローラーなしは5台 | 公式ページに記載なし |
| SlimeVR | 慣性センサー(IMU)で動きを測る | トラッカーと、SlimeVR Server(Windows・Linux・macOS・Androidで動く)。2.4GHzのWi-Fi 4ネットワーク | 最低5台(胸1、太もも2、足首2) | V1.2は219ドルから、Butterfly Trackersは279ドルから(USD表記のみ) |
04方式ごとの特徴
VIVE Tracker (3.0)|ベースステーションを置く
VIVE Tracker (3.0) は、SteamVRのベースステーションBS1.0とBS2.0に対応するトラッカーです。HTCの公式ページに「ベースステーションとソフトウェアが必要となります。(別売)」とあるので、トラッカーだけを買っても動きません。付属のUSBドングルでPCとつなぐため、PCにはトラッカーの台数分の空きUSBポートが要ります。他社のトラッカーとは互換性がない点も、公式ページに書かれています。
VRChat公式ドキュメントが例に挙げるのは、この系統のトラッカーです。すでに対応のベースステーションを持っているなら、追加で買うのは主にトラッカーなので、まず検討したい方式です。
VIVE Ultimate Tracker|ベースステーションなしで始める
VIVE Ultimate Trackerは、トラッカーに付いた2台の広角カメラで空間を読み取る方式です。HTCの公式ページに「ベースステーションは必要ありません。」とあります。3+1キットには、VIVEワイヤレスドングルが1つ付きます。サードパーティ製のSteamVR対応ヘッドセットでは、ドングルをPCにつなぎ、VIVE Hub経由で使います。
プレイエリアは最低3m×3mで、障害物から1.5mの距離が要ります。極端に暗い場所や直射日光の下は推奨されていません。トラッカーとの接続には専用の2.4GHz帯を使います。ヘッドセットは5GHzのWi-Fiが推奨されています。ベースステーションを置けない部屋でも始められる反面、部屋の広さと明るさを先に確かめる必要があります。
SlimeVR|慣性センサーで動きを測る
SlimeVRは、オープンハードウェアのセンサーとオープンソースのソフトで動くフルボディトラッキングのシステムです。ベースステーションは不要です。公式サイトは、手頃な価格、快適さ、オープンな仕組みを重視していると説明しています。
トラッカーは、2.4GHzのWi-Fi 4のネットワークにしかつなげられません。5GHz対応のルーターを使っている場合は、2.4GHzも有効にする必要があります。同じネットワーク上のPCやスマートフォンと通信するので、インターネットへの接続は要りません。
購入には注意が必要です。公式サイトの価格はUSD表記だけで、正規品の販売先はCrowd SupplyとMouser Electronicsのみです。日本への発送や、日本円での価格表示は、公式サイトに記載がありません。販売ページで送料と発送先を確認してください。
05何台あれば足りるか
必要な本数の数え方は、製品で違います。HTCの公式ページは、VIVE Ultimate Trackerのヘッドセットとコントローラー2台を使うフルボディ(6ポイント)にトラッカー3台と案内しています。VIVE Tracker (3.0) のページは、フルボディに最低3台を推奨しています。SlimeVRの公式ドキュメントは、フルボディトラッキングに最低5台が必要としています。SlimeVRは胸に1台、太ももに2台、足首に2台という付け方です。VRChat公式ドキュメントのSteamVRの手順では、腰と左右の足に割り当てます。

SlimeVRの公式ドキュメントは、胸の1台だけで部分的なトラッキングを試せるとしています。
06どれを選ぶか
- ベースステーション(BS1.0かBS2.0)を持っている:VIVE Tracker (3.0)
- ベースステーションを置けない:VIVE Ultimate Tracker。3m×3m以上のプレイエリアが必要
- 日本円で買いたい:VIVE Tracker (3.0)。19,000円(税込・希望小売価格)で、ベースステーションは別売
- Wi-Fiで動く方式を試したい:SlimeVR。最低5台が公式の目安
07VRChatで使えるようにする流れ
VRChat公式ドキュメントにもとづく手順です。SteamVRでペアリングするトラッカーを使う場合の流れで、SlimeVRとVIVE Ultimate Trackerの接続方法は、各社の公式ページで確認してください。
- トラッカーをSteamVRでペアリングします
- SteamVRの「Manage Vive Trackers」で、トラッカーに足や腰などの役割を割り当てます。「Held in Hand」になっていないことを確かめます
- VRChatを起動します。必要なトラッカーがSteamVRでペアリングされていれば、フルボディのモードが自動で検出されます
- クイックメニューで「Calibrate FBT」を選び、アバターを基準に位置を合わせます。正面を向いて、両手のInteractボタン(通常はトリガー)を同時に押します
08キャリブレーションの注意点
VRChat公式ドキュメントが注意している点です。
- しゃがんだ状態でキャリブレーションを行わないでください
- Playspace MoverやOpenVR Advanced Settingsでオフセットをかけた状態では、キャリブレーションしないでください
- 高さ(Height)の設定を正しくしてから行います
- 従来の手順を使いたいときは、起動オプションに –legacy-fbt-calibrate を付けます
09よくある質問
3台あれば足りますか
製品によって答えが変わります。HTCの2製品は3台からと案内していて、VIVE Ultimate Trackerの3台は、ヘッドセットとコントローラー2台を使う場合です。SlimeVRは最低5台です。
Quest単体でもトラッカーを使えますか
VRChat公式ドキュメントに、Quest単体の場合の記載はありません。説明はSteamVRでペアリングしたトラッカーが前提です。ヘッドセットごとの動作環境はVRChatの始め方にまとめています。
ベースステーションなしでもフルトラはできますか
VIVE Ultimate TrackerとSlimeVRは、公式ページでベースステーションが不要とされています。必要な条件は、VIVE Ultimate Trackerが3m×3m以上のプレイエリア、SlimeVRが2.4GHzのWi-Fiです。
バッテリーはどれくらいもちますか
公式ページの数字は、VIVE Tracker (3.0) が最大7.5時間、VIVE Ultimate Trackerが最大7時間、SlimeVRが10〜15時間です。
編集部のひとこと
公式ページを読み比べて、HTCの3台とSlimeVRの5台のように、本数の数え方がそろっていないことに驚きました。円の価格が公式ページで分かったのも、VIVE Tracker (3.0) だけでした。買う前に、VRChat公式ドキュメントのキャリブレーションの手順を読んでおけば、置き場所や本数の条件が具体的に想像できます。
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