オーディオインターフェイスは、マイクの声をパソコンに取り込むための機材です。配信向けのミキサーは、パソコンとUSBでつなぐ点は同じで、配信で使う音量調整やエフェクトを本体に持たせています。ヤマハは「AGシリーズ」を、配信者の使い勝手を考えた機材として「ライブストリーミングミキサー」と呼んでいます。
今回公式の資料で確かめたヤマハ AG03MK2・AG06MK2、スタインバーグ UR22C、フォーカスライト Scarlett Solo 4th Gen の4機種は、どれもループバックの記載があります。違いは、マイクを何本つなげるか、配信向けのエフェクトを本体で使えるか、の2点です。
この記事のポイント
- ループバックは、マイクの声とパソコンで流しているBGMや効果音を機材の中で混ぜ、合成した音をパソコンに戻す機能
- 確かめた4機種はどれもループバックとファンタム電源(コンデンサーマイク用の48V)に対応
- マイクを2本つなぐならAG06MK2かUR22C。本体で配信向けのコンプレッサーやリバーブを使うならAGシリーズ
- OBS Studioは初期状態でデスクトップ音声とマイクを取り込むので、ループバックは必須ではない
マイクの種類や、USBマイクとXLRマイクの違いは配信にオーディオインターフェイスは必要?、配信用マイクの選び方で書きました。この記事は、必要だと決めたあとに機種を選ぶ人向けの内容です。
01ループバックとは何か
ループバックは、機材に入力したマイクの声と、パソコンで再生している音を機材の中で混ぜ、その合成音をパソコンに戻す機能です。ヤマハは、マイクの声や楽器の音に、パソコンやiPadで再生しているBGMや効果音を混ぜて配信に送れる機能として紹介しています。スタインバーグのUR22Cのマニュアルにも、入力信号とコンピューター内の音声を2chにミックスしてコンピューターへ戻す機能と書かれています。
OBS Studioは、初期状態でデスクトップ音声とマイクの両方を取り込みます(OBS公式のクイックスタートガイド)。OBSで声とゲーム音を配信に乗せるだけなら、ループバックがなくても配信できます。機材の中で混ぜた音を1つの入力として使いたいときに、ループバックのある機種が選択肢に入ります。
024機種を並べて比べる
| 機種 | マイク入力(XLR) | ファンタム電源 | ループバック | USB | 配信・録音まわりの機能 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヤマハ AG03MK2 | コンボ端子1(Line兼用)。ヘッドセットマイク用の3.5mm端子もあり、同時には使えない | CH1に+48V | あり | Type-C。USB Audio Class 2.0、最大192kHz/24bit | スマートフォン用の4極ミニ入力。ヘッドホンは6.3mmと3.5mm(同時使用不可) |
| ヤマハ AG06MK2 | コンボ端子2(CH2はギターにも対応)。ヘッドセットマイク用の3.5mm端子もあり、CH1とは同時に使えない | CH1・CH2に+48V | あり | Type-C。USB Audio Class 2.0、最大192kHz/24bit | 本体のDSPエフェクトはCOMP/EQ・REVERB・AMP SIM。スマートフォン用の4極ミニ入力 |
| スタインバーグ UR22C | マイク入力2系統(バランス)。ライン入力・Hi-Z入力も | 背面の[+48V]スイッチ。XLRタイプにのみ供給 | あり | USB 3.0 Type-C(USB 2.0に切り替え可) | dspMixFxでレイテンシーを抑えたモニタリング。ゲインはMIC入力で+6〜+60dB |
| フォーカスライト Scarlett Solo 4th Gen | リアのXLR入力1系統。フロントにライン/インスト入力1 | 48V | あり | USB 2.0 Type-C(900mAが必要) | ダイレクトモニター。ゲイン57dB。Air機能 |
価格は、ヤマハのAG03MK2とAG06MK2が公式ページで「オープンプライス」の扱いです(10月12日確認)。ほかの2機種は日本での価格を公式の資料で確かめられなかったので、購入前に各社の公式ストアか販売店の表示を見てください。AG03MK2は2022年4月発売です(ヤマハ公式、10月12日確認)。
03用途で選ぶ
マイクは1本で、まず配信を始めたい
XLR入力が1系統の機種が当てはまります。AG03MK2とScarlett Solo 4th Genがこれに当たります。AG03MK2はスマートフォン用の入力も持ち、配信用のミキサーとして使えます。Scarlett Soloにはダイレクトモニターの機能があります。
マイクを2本つなぎたい(コラボ・2人配信)
マイク入力が2系統あるAG06MK2かUR22Cが候補です。AG06MK2は2つの入力に+48Vが出ます。UR22Cのファンタム電源は背面のスイッチで入り切りし、XLRタイプにのみ供給されます。
配信向けのコンプレッサーやリバーブを本体でかけたい
AGシリーズが向いています。AG06MK2の仕様ページには、DSPエフェクトとしてCOMP/EQ・REVERB・AMP SIMが載っています。設定は専用のソフト「AG Controller」で行います。AG03MK2の前の世代にあたるAG03の製品ページでは、ワンタッチのコンプレッサーと歌用のリバーブが紹介されています。
歌ってみた・歌枠で、録音ソフトも使いたい
UR22Cが候補です。ヤマハの紹介ページでは「D-PRE搭載」「Cubase AI付属」とされています。録音のしかたは、歌ってみた・歌枠の録り方も合わせて読んでください。
04つまずきやすい点
ファンタム電源の入れ忘れと入れすぎ
コンデンサーマイクは、XLRケーブルを通してインターフェイスから48Vのファンタム電源を受け取ります。ダイナミックマイクは基本的に不要です。パッシブのリボンマイクの多くは、ファンタム電源で壊れる恐れがあると、エルガトの公式解説に書かれています。ファンタム電源を入れる前に、使うマイクの説明書を見てください。違いはコンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いで書いています。
小さい音のダイナミックマイクはゲインが足りないことがある
出力がとても小さいダイナミックマイクは、基本的なインターフェイスでは十分なゲインを得られない場合があります(エルガト公式)。ゲインの幅は機種ごとに違い、UR22CのMIC入力は+6〜+60dB、Scarlett Solo 4th Genは57dBです。
入力の機器を選ぶ
つないだら、まずWindowsの「設定 → システム → サウンド → 入力」で使うマイクを選びましょう。OBSでは、画面下の「音声ミキサー」のメーターが動くかを見て、動かないときは「設定 → 音声」で機器を手で選びましょう。UR22CをWindowsで使うときは、マニュアルにある「Yamaha Steinberg USB ASIO」のドライバーを選びましょう。ヤマハの公式ページには、AGシリーズ用としてWindows用の「Yamaha Steinberg USB Driver」が載っています。
機材を替えただけでは音は良くならない
エルガトの解説には、XLRの機材をそろえても、セットアップを最後まで整えなければ、ふだん使っているUSBマイクより良い音にはならないという趣旨の注意があります。ノイズが気になるときは、配信のマイクのノイズを減らす方法を先に試してください。
生産完了の製品に注意
ヤマハ公式のAG03のページには「生産完了品」と表示されています。AG03MK2とは別の製品なので、中古や在庫品を見るときは型番を確かめてください。
05よくある質問
配信向けミキサーとオーディオインターフェイスは、どちらを買えばいいですか
マイクの本数と、本体のエフェクトが要るかで決めるとよいです。1〜2本のマイクで配信向けの機能を本体で使うならAGシリーズ、録音も重視するならUR22CやScarlett Soloが候補になります。
ループバックがないと配信できませんか
配信はできます。OBS Studioが初期状態でデスクトップ音声とマイクを取り込むためです。
スマートフォンの音も機材に入れられますか
AGシリーズには、スマートフォン用の4極ミニ(TRRS)入力があります。AndroidはTRRS接続、iOSは外部電源の都合でAppleのカメラアダプター推奨と、ヤマハの資料にあります。
USBマイクから乗り換える価値はありますか
USBマイクは、カプセル、プリアンプ、デジタル変換が1本にまとまっています。XLRマイクとインターフェイスの組み合わせは、マイクとインターフェイスを別々に交換できる点が違います。判断の材料は配信にオーディオインターフェイスは必要?にまとめました。
06公式のページ
- ヤマハ AG06MK2 仕様
- ヤマハ AG03MK2 仕様
- ヤマハ AG03 特長(ループバック)
- スタインバーグ UR22C オペレーションマニュアル
- フォーカスライト Scarlett Solo 4th Gen ヘルプ
- OBS Studio クイックスタートガイド
ツールの名鑑にも、歌枠向けのミキサーStream Gear Mixerを載せています。ソフトで音を混ぜたい人は、機材と比べて読んでください。入り口の記事はVTuberの始め方です。
編集部のひとこと
機材の名前が「オーディオインターフェイス」と「ミキサー」に分かれていて、初めて選ぶ人は戸惑うと思います。ヤマハは公式ページで、AGシリーズを「ライブストリーミングミキサー」と呼ぶ理由を説明しています。まず決めるのは、マイクの本数と、配信向けのエフェクトを本体で使いたいかどうかの2つです。この2つが決まれば、候補はだいぶ絞れます。
VTuber界隈のあれこれを届けるV/WIRE編集部です。 編集方針
